範囲指定ゲーム
今まで水死していった生徒たちを思い出すと、とても楽な死に方だとは思えなかった。


むしろ苦しい方だと思う。


それなのに、それを選ぶということは……。


「なにか、理由があるの?」


友香がそう質問をすると、源は大きく頷いた。


「あぁ。俺は水泳が得意なんだ」


そう言ってほほ笑む源。


「そう……なんだ?」


友香は首を傾げてそう聞き返した。


まだ1年の4月だ。


水泳は開始されていないから、源の能力がどのくらいあるのかみんな知らなかった。


「中学時代に全国大会に出場した」


胸を張ってそう言う現に、心太朗が「マジかよ」と、驚いた声を上げた。


「あぁ。結果は2位で終わったけれど、高校に入学してからはもっと上を目指そうと思ってたんだ」


そう話す源の目は輝いている。


本当に水泳が好きなのだということがわかった。


「わかった。じゃぁ投票内容は水死で統一しよう。これで、あたしたちは助けが来るまで生き残ることができる」


みゆの言葉に、友香は大きく頷いたのだった。
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