かほちゃんの馬車
だけど目の前の王子様は
あたしをバカにするようなそぶりもなく、
やわらかな低くて甘い声でゆっくりと話す。


「仕事に夢中になりすぎちゃってね、食事、摂るの忘れてた。家帰って食べればいいかなって思ったんだけど、急にフラっとなっちゃって……本当に助かったよ。ありがとう」


「仕事、忙しいんですか?」


「んー、毎日決められた時間で働けば普通くらいかな。でも不規則だから……」


「何してるんですか?」


その優しい雰囲気で、
あたしの緊張はいつのまにか解けてた。
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