先輩!小説の主人公になってください!
柊人side

「大和‥いつも、悪いな‥。本‥読んでて‥。人数増えると、緊張して‥。」

俺は部室で後片付けをしていた大和と話をしていた。

咲和や後輩達は先に帰った。

「いいんですよ。本、読んでると落ち着くんでしょう?俺は気にしてないです。」

大和は笑いながら言った。

「ありがとう。でも‥直すようにはする。」

俺も俺で結構、悩んでいるのだ。人が話してるのに本を読んでることに‥。

「‥自分のペースでいいんですよ柊人先輩。俺は柊人先輩の事情を知ってますから‥。」

「本当に助かるよ。ありがとう。」

大和には本当に感謝という言葉しかない。

こんな俺を理解してくれたから。

「それと‥柊人先輩、あの返事はもうしたんですか?」

大和が聞いた。

「あの返事?」

何のことか最初は分からなかった。

「杉内のあの言葉の返事です。」

ここであのことだということを思い出した。

「ああ、あれね‥。まだ‥。」

杉内の返事‥。正直、嫌ではなかった。でも、素直に応じられない自分も中にはいたんだ‥。

「杉内、じきじきにオファーが来るなんてさすが柊人先輩ですね。かわりに俺が杉内の小説のモデルになりたいですよ。」

そんなことを大和は言った。

この時、なぜか俺の心はもやっとした。

「‥冗談ですよ先輩。真に受けないでください。」

大和はいじわるそうに笑った。

時々、こいつ性格が悪いだろうなて想ってしまう。

「杉内の噂をしてたら、あいつの忘れ物があった。‥にしては大きい忘れ物だな。」

大和が手にしているものはヘッドホンだった。

俺はこれの使い方を知らない。名前は聞いたことがあるが、初めて見るものだった。

「なぁ、大和。これは何?」

知らず知らずのうちに興味がわいてしまう。

「ああ、これはヘッドホンていうやつです。ほら、音楽聞くやつ。‥もしかして、柊人先輩使ったことがないですか?」

「うん。初めて見る。へぇー、これで音楽が聞けるんだ。すごいなー。」

俺はヘッドホンを見ていた。

ここで俺は気づいた。見ると、大和は呆然と口を開けていた。
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