先輩!小説の主人公になってください!
キスが残していったもの
伊織side
私は部室の前に立っていた。
‥ここを入れば柊人先輩がいる‥。‥みんなに軽蔑されたらどうしよう‥。
そんなこんなで私は躊躇していた。
「あれ?伊織こんなところで何してるの?」
ビクゥ!!
突然、名前を呼ばれ後ろを振り向くとそこには大和先輩がいた。
「や‥大和先輩‥。この前は迷惑かけてすみませんでした。」
私は頭を下げて謝った。
「あれから体は大丈夫だった?」
怒るどころか大和先輩は私の体を気遣ってくれた。
「ちょっと、頭痛がしますけど大丈夫です。以後、気をつけます‥。」
すると大和先輩は私の頭に手をおいて笑顔で言った。
「そっか!頭痛ですんでよかったよ。‥これからは俺も気をつけるから。本当、ごめんな。」
大和先輩の優しさが心に響く。
「先輩、謝らないでください。悪いのは私ですから‥。」
大和先輩の顔が見られない。
「俺も、あんまり注意出来てなかったなと思ってたんだ。後輩がこうなったのも部長である俺の責任。」
先輩は部室の扉をあけながら言った。
「これからは気をつけような。俺も伊織も。」
「はい!」
私は大和先輩のおかげで少し心が軽くなった。
私が部室に入ってしばらくすると咲和先輩と彩月が部室に入ってきた。
「あれ?伊織!!大丈夫だった?」
咲和先輩は驚いた顔で私に駆け寄ってきた。
「はい。少し頭痛がしますけど大丈夫です。咲和先輩のお酒、勝手に飲んですみません。」
「そんなのいいの!私があんなところに置いていたから間違って飲んじゃったんだよね?本当に私のミスでごめん!」
咲和先輩も私が勝手に飲んだのに謝ってくれた。
少し申し訳なくなってしまう‥。
「‥これからは気をつけるようにします。咲和先輩‥20歳になったらお酒とのつきあい方を教えてください。あんな風に酔いたくなので。」
最後は自虐的になってしまった。
「わかった。今度は伊織が酔わないようにちゃんと指導するからね!」
咲和先輩が胸をはって言った。
頼りになる先輩である。
「ありがとうございます!あの‥ところで今日、柊人先輩は‥」
「今日、柊人はゼミがあって来られないんだって。」
「そ‥そうなんですか‥。」
‥柊人先輩とは今日、会えないんだ‥。
「寂しい?」
咲和先輩がいたずらぽく聞いてきた。
「や‥大和先輩も咲和先輩もいるので‥べ‥別に寂しくなんかないんですからね!」
‥なんで、ここでツンデレが出てくるんだろう‥。
私‥痛すぎ‥。
そう赤面していると‥
「好きなんでしょう?柊人のことが。」