先輩!小説の主人公になってください!
「‥咲和先輩。ちょっとは人の気持ちも考えてあげてください。触れられたくないことて咲和先輩にもあるんじゃないですか?」

「‥何いい子ぶってるの?人が何しようが勝手でしょう?ちょっと、黙っててよ。」

咲和先輩が言い返す。

「そんなんだから、人から嫌われるんですよ!!」

ガシッ!!

咲和先輩が大和先輩の胸ぐらを掴んだ。

「‥‥やる気ですか?咲和先輩?俺、受けてたちますよ?」

大和先輩は挑戦的な態度をとる。



もう‥ダメだ‥!





「好きです!!!」



「えっ!?」

全員が私を振り返る。

私は涙をためながら言った。


「し‥柊人先輩のこと、好きです!!初めて会った時から好きでした!!だから‥だから‥喧嘩しないでください!‥‥ッ‥‥。今日は‥‥帰ります‥。」



涙があふれ、その場にいたたまれなくなって私は部室を出ようとした。


すると私の前に彩月が回り込み私の手を掴んだ。


「知ってるよ。伊織が柊人先輩こと好きだったの。」


「えっ?」



「伊織は柊人先輩のこととなるといつも、嬉しそうだったから。多分、好きなんじゃないかなって‥。」


「‥‥‥‥。」

涙が流れるだけで何も言えなかった。

「ちょっと話そうか。‥てことで私と伊織は外に行ってきます。‥先輩達は、戻ってくるまでに仲直りしておいてくださいね?じゃあ、行こう。」

そう言って彩月は私と一緒に外に行った。


春の風はまだ寒かった。

私は前を行く彩月を呼んだ。


「彩月‥。」


「‥伊織はすごいね。」


「えっ?」


そう言うと彩月は私を振り返った。


「あんな追い詰められた状況でよく言えたね。私だったら無理だよ。」

彩月が優しい表情で言う。

「私は‥ただ、先輩達が喧嘩してほしくなかっただけ。私のせいで‥喧嘩するぐらいなら‥言った方がまし‥。」



また涙が溢れ出してしまう。



「ッ‥‥こんなことになるなら‥‥好きになるんじゃ‥なかった‥。こんなに揉めるなら‥最初から‥」

彩月が私を抱きしめた。

「‥伊織‥自分の気持ちにだけは嘘つかないでよ‥。それでも‥好きなんでしょう?先輩のことが。初めて会ったときから‥。」


そう言うと彩月は私から離れた。

そして私の目を見て行った。

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