先輩!小説の主人公になってください!
なぜか柊人先輩があやまってくれた。
1番の被害者は柊人先輩なのに‥
「な‥なんで‥」
私はそれしか言えなかった。100%悪いのは私なのに‥
「‥俺が伊織のファーストキスの相手になっちゃったから‥。」
ズキッ!!
私の心が痛む。
「伊織にはもっといい奴の方がよかったのに‥。俺なんかがファーストキスの相手でごめんな。」
‥そんなこと‥柊人先輩の口から‥聞きたくない‥
知らず知らずのうちに私の目からは涙がこぼれ落ちていた。
「柊人先輩。そんなこと言わないで‥くだ‥さい‥。先輩は悪くないです。悪いのは私です‥。だけど‥私‥嬉しかったんです‥。たとえ、あれが事故で柊人先輩の本命じゃなかったかもしれないけど嬉しかった‥。」
すごく自分勝手なこと言ってるなーと自分で自分が嫌いになると感じた。
だけど‥この想いだけは‥止まらなさそうだった。
「柊人先輩‥。私は‥柊人先輩のことが好きです。大好きなんです‥。」
柊人先輩は‥何も言わず黙っていた。
私は今、すっごく自己中な発言をした上に告白までして図々しいかもしれないと、今ごろになって気づいた。
‥でも‥時すでに遅し‥だ。
「ごめん。‥俺は伊織のこと今は好きじゃない。」
失恋‥しちゃった‥。
涙がさっきよりも溢れてくる。
もう‥先輩の顔が涙で見えない。
だけど、柊人先輩が私に近づいてくる気配がした。
「それに‥俺的には‥ファーストキスを奪った代償を伊織に払ってほしいなと思ってるよ。」
代償‥。
そうだ‥私は‥代償が発生するようなことを柊人先輩にしたんだ‥。
当然といえば当然か‥。
「覚悟はできてます‥。」
すると柊人先輩は私の頬に手を当てた。
ビクッ!自然と体が固まる。
「伊織が卒業するまで、絶対に文芸部をやめるな。それが伊織が払う代償だ。」
「‥‥えっ!?それだけですか!?」
身構えてただけあってちょっと拍子抜けしてしまった。
「‥何?もっと、重い物にしてほしかった?だったら‥」
「あぁ!!だ‥大丈夫です!!私は卒業まで文芸部をやめないとここに誓います!」
私は勢いで誓いの言葉を述べた!
いや、私にとって十分すぎる代償だ‥。