先輩!小説の主人公になってください!



「それは彩月、怒って帰るはずだよー。ついていけない話を2人だけで進めちゃってさ。私もそんなんだったら、同じ部屋にいたくないな。」


「はい。反省してます。これからは気をつけます。」


大和先輩が反省するように頭を下げた。


「私も反省してます‥。すみませんでした。」



「あっ‥ちょっと言い方キツかったかな。ごめんね。でもさ‥せっかくの部活なんだから、みんなで楽しくやりたいなーと思って。人それぞれ得意なこと苦手なことあるかもしれないけどさ、お互いがフォローし合って思いやっていけるといいね。」



「咲和先輩‥。」


大和先輩が驚いたような表情で咲和先輩を見た。


「なーんてね。大和くん、そんなに意外な顔しないでよ。私だってやるときはやるんだから。‥ということで、後は部長の大和くんの仕事だよ。部員をどうまとめるか、すべては大和くんの手にかかってるよー。」


「ぷ‥プレッシャーをかけないでください!俺、結構プレッシャーに弱いんですよ‥。ていうかこの状況、楽しんでるでしょう!?」


部の雰囲気はいつの間にかいつも通りになっていた。



私も彩月に謝らないといけない。









彩月side




本当にムカツク‥。今はその一言に尽きる。




私は家に帰り夕飯を作りながら思っていた。



ザクッ!ザクッ!



今晩の夕食のトンカツにつけるキャベツを怒り任せに刻む。



ポタッ


すると一滴の雫がまな板に
気づけば泣いていた。ずっと我慢していた涙だ。



この涙は‥悲しい時に出る涙じゃない‥。



悔し涙だ‥。



話についていけない自分が情けなくて、悔しかった。


だから‥うまくいかなかったことを全部、伊織にぶつけた。



本当に‥



「私てバカだ‥。‥っ‥」




口に出して言うと涙が溢れて止まらなくなる。



それだけじゃない。心の中もモヤモヤする。



なんで、楽しそうに話してる伊織と大和先輩を見て心の中がモヤモヤするんだろう。


大和先輩としゃべっている人が私だったら‥てどれだけ想像しただろうか。




私は、ついに気づいてしまった。






きっと私は‥大和先輩に、恋をしてる。




好きなんだ‥大和先輩のことが‥。




何事にも前向きで部員思いで、そして‥創作活動をしてる時の大和先輩のキラキラした顔。


全部、全部‥



「好きなんですよ‥先輩。」



そう、つぶやいた時だった。



ピロリン!!


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