先輩!小説の主人公になってください!
「私も伊織と共有したいに決まってるじゃん!だって、私にとって伊織は大切な友達だよ?これからもよろしくね相棒!」
そう言って彩月は私の背中に抱きついた。
「こちらこそよろしくね!‥ていうか重いから離れてよー。彩月、さては太ったね?これが幸せ太りてやつ?」
「失礼ね!太ってないし!‥ていうかイジらないでよ!」
部屋には久しぶりに笑い声が響く。
私と彩月は仲直りをすることができたみたい。
ここで私は気になっていたことを聞いてみた。
「でも、どうして急に献血しようて気になったの?普段の彩月からは想像がつかないし、それに貧血気味でしょう彩月て?」
そう聞くと彩月は恥ずかしそうに言った。
「なんかさ‥どうでもよくなっちゃったんだよね‥。大和先輩に彼女がいたてわかったしショックだったから、もうどうにでもなれ~て感じでさ。‥大和先輩にも怒られた。だから、もうそういうことはしないて決めたんだ。自分大切だしね。」
「彩月‥。」
「やっぱり伊織は、私にとって大事な友達だよ。凛ちゃんのこと知ってたんでしょう?大和先輩の隣にいたこと。」
絶対に知らないと思ってたのに知ってたと聞いて驚く私。
「ど‥どうして、それを?」
「だって、伊織分かりやすすぎだもん。伊織の動揺ぷりを見てると、すぐに何かを隠してるて分かるよ。まぁ、何に動揺してたのかは分からなかったけど。」
「へ‥へぇーそうなんだ。」
私は恥ずかしい気持ちをごまかすかのように取りあえず、冷蔵庫をあさりだした。
そして、さりげなく話題をかえる。
「さ‥彩月、き‥今日の夕飯何か食べたいものある?」
「特にはないよ。伊織にまかせるよ。」
彩月は笑いながら言った。
「そっか‥。じゃあ、貧血気味の彩月のために、肉多めのカレーにしようか!」
「おぉ!いいね!作るの手伝うよ!」
そう言って私と彩月は肉多めのカレーを作り始めた。
私が野菜を切っていた時だった。
「私も1つ、伊織に聞きたいことがあるんだよね。」
「うん。なあに?」
私は野菜を切りながら口を開く。
「伊織は柊人先輩のどこが好きなの?」
ザクッ!!
野菜を切る中で一番大きな音がしたような気がした。
私の手の動きも止まってしまった。
「前からさ、先輩は主人公になれる人だ!みたいなこと言ってたのは知ってるけど、どこに心を奪われたの?」
彩月はじゃがいもを鍋に入れながら言った。
「それは‥優しいところ?」
「なんで疑問系なの?」
彩月は笑いながら言う。
私もなぜ疑問系になったのか分からない。
「でも‥先輩は不思議な部分とかあるかもしれないけど、私は時々見せる笑顔が好きなんだと思う。何か、人を寄せ付けないものもあるけど私はそういうのも全部、好きなんだよ。」
すっごく恥ずかしいこと言ってるなと思った。
「そっか‥。伊織は顔で選んでるんじゃないかと思ってたけど、ちゃんと中身を見てるんだね。安心した。」
「顔なんかで選ぶわけないよ。大事なのは外見じゃなくて中身だから。」
でも‥こうやって本音を話せるのは彩月のおかげだ。
彩月が笑わないて思えたから本音を話せた。
私は大切な友達が隣にいるてことを忘れない。