先輩!小説の主人公になってください!
それから、私たちは柊人先輩に案内されて応接間みたいな机と椅子が並んだ場所へと移動した。
‥これ‥よくテレビで見かける会議してる場所みたい‥
「じゃあ、始めようか。席につこう。」
「はい!」
大和先輩の声でみんなが椅子に座り、合宿1日目の部活が始まった。
「えーっと‥まずは‥文化祭について‥何か、やりたいこととかある?」
「‥先輩、そもそも去年は何をしたんですか?」
彩月が遠慮がちに聞いた。
すると‥
「去年は部誌を発行しただけだよー。‥まぁ‥ほとんど読んでくれる人いなかったけどね‥。」
咲和先輩が口をはさんで教えてくれた。
「あの‥大和先輩はどんなことがいいと考えてるんですか?」
今度は私が大和先輩にたずねる。
「俺は、去年のこともあるから‥今年は‥みんなで1つの創作をしようかとも考えてるんだけど、彩月と伊織に関しては全く心配してないんだよ。だけど‥ふざける人がいてさ‥」
ちらっと大和先輩が咲和先輩と柊人先輩を見る。
「やる時はちゃんとやるわよ。それに人に見せるもんでしょう?そんなに情けないものもかけないしね。それに‥文化祭て楽しまなきゃ損じゃない?ねぇ柊人?」
「あぁ‥。そうだな。」
「ちょっと聞いてよ。去年さ、文化祭の後夜祭で柊人大変だったのよ。女子達に一緒に踊って下さい!て言われて。もう、周りは女子ばっかり!」
「ちょ‥ちょっと待ってください!!」
思わず私は待ったをかけてしまった。
そう‥柊人先輩がモテモテ!ていうのもひっかかるけど、それよりも‥
「後夜祭て何、するんですか?踊るって?」
「あぁ。うちの大学さ、毎年文化祭終わった次の日に後夜祭するんだ。後夜祭は‥まぁ、ハロウィンパーティーみたいなもんかな。踊るのもよし!食べるのもよし!みたいな。去年は‥確か、大和くんは誘われて踊ってたよね。すっごく可愛い美人さんと。」
「えっ!?」
彩月が驚いた表情で大和先輩を見る。
「彩月、去年の話だから気にするな。‥咲和先輩。俺、咲和先輩が男で同学年だったら、間違いなく今、ここでぶん殴っていますよ?」
「あー面白い!大和、彩月ペアをいじるの楽しいわ。」
咲和先輩は楽しそうに笑っている。
「あの‥そのダンスパーティーって‥誘われるものなんですか?」
「うーん。ほとんど、彼氏彼女が踊ってたかな。でも、誘われたら踊ってもいいんだよ。うちの大学の後夜祭は楽しんで終わるていうのがモットーだから。」
「‥そう‥ですか。」
「はいはい。今は後夜祭の話じゃなくて文化祭の話だから。」
そう言って大和先輩が戻そうとするが‥
「ねぇ、今年は彩月と出るんでしょう?」
「さ‥咲和先輩‥?な‥何を‥言って‥」
「えー。出ないの?せっかく、踊れるチャンスなのに、彩月かわいそう。」
つくづく思うのだが、咲和先輩て時々たたみかけるようなこと言うよね‥。
私は‥絶対に咲和先輩を敵にまわさないでおこうと心に誓った。
ふと、柊人先輩を見ると楽しそうに笑っていた。
柊人先輩を見ているとあの部屋を閉めたときの柊人先輩の顔を思い出した。
一体‥あの部屋には何が‥