先輩!小説の主人公になってください!
「‥そういえば大和の寝顔写真、俺持ってるよ。」
柊人先輩が今日、初めて口を開きその言葉に全員が柊人先輩の方を見た。
「え‥な‥なんで‥柊人先輩が持ってるんですか?」
大和先輩が恐る恐る聞く。
「なんでって‥去年だっけ?咲和が部室で寝ている大和の写真を送ってきたから‥。だよな、咲和?あれ?」
大和先輩の殺気を感じたのか、咲和先輩は台所から忽然と姿を消していた。
なおも柊人先輩は続ける。
「題名は部長の寝顔ゲット!!だって。‥まぁ、俺はその写真、保存してるのだが‥。その写真‥見るか?」
大和先輩の顔がさっきよりも赤くなった。
「み‥見せなくて‥いいです。咲和先輩‥。勝手に、俺の寝顔を拡散しないでくださいよ!」
「えー。だって大和くんの寝顔すごく可愛かったからー。」
どこからか咲和先輩の声が聞こえる。
「可愛いからって撮らないでください。まったくもう。咲和先輩は‥。」
「大和先輩の寝顔‥。」
今まで黙っていた彩月が口を開いた。
「えっ!?」
「見たいです‥。駄目‥ですか?」
彩月が女の武器を使う。
これでおとせない男はいないだろう。
案の定、大和先輩が困っている。
「‥‥っ‥ち‥ちょっとだけな‥。」
どうやら観念したようだ。
「やったー!ありがとう!先輩!」
そう言って彩月は大和先輩に抱きついた。
「ば‥バカ!彩月!皆がみてるから‥だから抱きつくなって!」
そうして‥私たちは大和先輩の寝顔を見せてもらえることができた。
咲和先輩の撮り方がよかったのか、それとも大和先輩が可愛かったからなのかよく分からないが、とにかく可愛かった!
「ごめんね大和くん。勝手に撮ったりして。」
朝ごはんを食べている時に咲和先輩は大和先輩に謝った。
「もう、いいですって。部室で寝ていた俺もバカだったし。それに‥寝顔て減るもんじゃないですしね。」