先輩!小説の主人公になってください!
先輩が顎をつきだすのをやめると自然と私の笑いもおさまった。
「先輩なら大丈夫です。きっと乗り越えられます。」
「うん。ありがとう。」
「でも先輩。サーロインステーキは高すぎるのでやめましょう。それでちょっと安くして黒毛和牛にしましょうよ。」
「‥伊織も言うこと俺と同じだな‥。」
‥なかば、呆れながらも笑っていた。
「なーんて冗談ですよ。今日は暑いのでそうめんにしましょう!」
この暑いのは恋のせいなんかじゃない。きっと夏のせいだ。
「ただいまー。遅くなりました。」
私と柊人先輩が帰ると、食堂には疲れたような大和先輩、咲和先輩、彩月がいた。
「おー。おかえりー。」
大和先輩が声をかける。
「ど‥どうしたんですか!?熱中症ですか?」
「いや違うのよ伊織。私達、ずっと文化祭の話をしてたんだけどなかなか決まらなくて‥それで集中力が切れてたところだから‥。」
咲和先輩がそう言う。
「みなさん、休憩に昼ごはん食べませんか?もう、11時30分ですので。私と柊人先輩が作りますからゆっくりしててください。」
「えっ?俺も作るの?」
柊人先輩が驚いたように言う。
「当たり前です。私も一緒に作りますから。」
そう言って私と柊人先輩はさっき買ってきたそうめんをゆではじめた。
「やっぱ暑い日はそうめんに限るねー。」
そう言って咲和先輩が美味しそうにそうめんをすすっている。
みんなもそうめんを食べて生き返ったみたいだ。
「それで‥どこまで話は進んだんですか?」
「一応‥文芸部だし部誌を発行しようかて話になってるんだけど、それは去年もやったし今年は新しいことをしようて話になってる。でも、新しいことて何があるかなていうところで行き詰まったんだ。ちなみに彩月からはリレー小説を発行したらていう案が出てるんだけど、あれは公に出せたもんじゃないからな。」
大和先輩が丁寧に説明してくれた。
確かに‥あのリレー小説はやめておいた方がいいかも‥
「でもさ、リレー小説を文化祭でやるの悪くないて思うんですよね!新しいことだし!」
彩月が意見を言う。