先輩!小説の主人公になってください!
「あっ!そうだ。文芸部の活動は放課後の火曜と木曜の週2回だけど基本この部室は空いているから、お昼ここで食べたりしていいよ。今の俺みたいに。放課後も‥来たかったら来ていいよ。文芸部は自由です。でもやるときはちゃんとやります。」

大和先輩はこの部室の使い方を丁寧に説明してくれた。

「本当に大和くんは先輩らしくなったね。一時はやめたいて言ってたもんね。」

そんなことを咲和先輩が言った。

「さ‥咲和先輩、その話は‥。」

大和先輩が慌てたように言った。

「あっ‥ごめんね。つい‥。」

「大和。基本、火曜と木曜以外は自由だから行かなくてもいいんだよな?」

柊人先輩が聞いた。

「はい。その辺は自由です。予定があってこれないこともあるので、そこは予定の方を優先してもらっても構いません。」

「うん。了解です。じゃあ俺、今日はこれで帰るよ。じゃあな。」

「お疲れさまでした!」

そう言うと柊人先輩は部屋を出ていった。

私は急いで部室のドアを開けた。

「伊織!?どうしたの?」

彩月が言う。‥が私はこの時何も聞こえていなかった。

「先輩!‥柊人先輩!」

私が呼びかけると歩いていた柊人先輩は歩くのをやめ、声がした方を振り返った。

私と目が合う。

とりあえず私は部室から出て、柊人先輩と向かい合った。

「‥どうしたの?‥何か、俺に用かな?」

「あ‥あの‥」

伊織の頭の中にあの光景がよみがえる。

「杉内?」

柊人先輩の顔が怪訝な顔になる。

そして私は決心した。


「先輩!私が書く小説の主人公になってくれませんか!?」

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