不安の滓
「ほら……天井に小さい穴があるでしょ? そこから見つけたの」

 促されるままに、天井を見上げる。
 言われてみると、確かにテーブルの真上に――小さい穴がある。

 その穴を凝視してみると、穴からこちらを見ている視線と目が合った!

「ひっ!」

 思わず叫び声が出た。
 天井に、我が家の天井に誰かがいる。
 なのに……なぜ妻は冷静でいるのだ!?

「こ、ここから動くな!」

 様子のおかしい妻を残し、天井を調べるために階段を駆け上る――。
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