不安の滓
 二階には客用の寝室があり、そこがリビングの丁度真上に当たる。
 畳張りの和室、その畳は何の変化もなく、どうやって天井裏に潜んだ人物がこの場所に入ったのか――そんな疑問がふと頭をよぎる。

 しかし、今はそのようなことを気にしている場合ではない。
 この中に潜んでいる人物――愛子を捕まえなければ!
 慎重に畳をめくる。
 こうやって、めくっている最中にも愛子はこちらに襲いかかってくるかもしれない。

 しかし、天井裏に潜む愛子は、俺の襲いかかってくることもなく、畳をめくるとすぐに天井裏の愛子は姿を見せた。

 抵抗をまるで見せなかった愛子は――死体になっていた。
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