不安の滓
 変わり果てた姿となった愛子は、首筋にロープの痕が残っている。
 誰かに――殺害されたのは疑いようもなかった。

――誰が……?まさか……里美が!?

 慌てて台所に戻る。
 どのような経緯で里美が愛子を殺してしまったのか、まるで見当が付かない。

 しかし、里美は天井裏に愛子の死体があることを知っていた……これだけは動かざる事実だ。

「あれは……一体?」

 台所に立つ里美がこちらに振り返って、ニッコリと妖艶な微笑みを見せた。
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