不安の滓
 ある日、と言っても白い部屋に入り始めて三日目のことだ。
 私は白い部屋のことを少しだけ探ってみようと思った。
 とは言え、その作業も僅かな時間で終わってしまったのだが。
 そのくらい、この白い部屋は広くなく。
 本当に何も存在しない部屋なのだ。
 四畳半ほどの広さの部屋、二メートルほどの高さの天井がある。
 四方は真っ白な壁に囲われ、壁は垂直に建っているだけ。

 中心の男は、今日も身じろぎ一つせずにじっと私を見つめているだけだった。
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