不安の滓
 白い部屋の中、中心に座る男が考えることが分かることに気が付いた。
 部屋の中心に座り、私を見つめているだけの男が何を考えているのか。
 男は……何も考えていないのだ。
 ただ、部屋の中心に座って、何も考えずに私を見つめているだけなのだ。
 その空白のような男の思考が私に伝わる。

 きっと、私が考えることも男に伝わっている。
< 34 / 66 >

この作品をシェア

pagetop