不安の滓
 私は既に白い部屋を探ることは無くなっていた。
 同時に、男に対する警戒も無くなっていた。
 警戒しても仕方のないことを知ったから。
 むしろ、警戒していたのは男の方だったようだ。
 私はこの白い部屋を前から知っていた。
 男はこの部屋のことを知らなかった。

 この部屋の主は私だったのだ。
< 36 / 66 >

この作品をシェア

pagetop