不安の滓
 男と私の無言の対話は続いた。
 意識しなくても男の考えは伝わってくる。
 きっと、男も私の考えることが分かっている。
 いや、そんなことを考えるまでも無いのだろう。
 既に、部屋の中で私と男の境界線は消えている。
 白い部屋の中に居るうちに、私と男は混ざり合っていた。

 私はこの男で、男はこの私になっているのだ。
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