不安の滓
 怖いのは人間だ。
 犯人を捕まえることが出来ない警察の無能が怖い。
 そんな事件が起きているのに飲み歩く人間の警戒の無さが怖い。
 話を聞いて、なお自分の身を守り切れないようになるのだから――。
 そうして、人を殺してしまう人間の猟奇性が怖い。

 今夜も――その衝動を抑えられない……私が怖い。



―― 『怪談』 了 ――
< 46 / 66 >

この作品をシェア

pagetop