宮野さんはいつも困ってる
「まあまあ」

坂下さんに止められて、葵ちゃんはすごい形相で睨んでる。
でも、坂下さんには効果ないみたい。

「で、明石はどうなの?」

「きゃっ」

ふっ、耳にかけられた吐息に思わず悲鳴を上げると、まわりから笑いが起きた。

「ほんと宮野さん、反応いいなー。
で?」

「……。
明石くんは、その、えっと、あの」

どうしよう。
うまく説明できない。
自分の気持ちもいまの立場も。

「ふーん。
まあ、なーんとなく今日みてたのといまのでわかるからいいや。
……でも」

やっと木部さんは離れると、今度は私をデコピンした。
< 130 / 287 >

この作品をシェア

pagetop