宮野さんはいつも困ってる
汗が、凍っていく気がする。

「ま、任せたからな!」

葵ちゃんが駆けていくのを目で追ってた。
私をかばうように立つ明石くんの身体からはゆらゆらと冷気が立ち上ってる。

「僕の宮野になにしてくれてるのかなー?」

「えっ、あっ」

じゃり、一歩、明石くんが踏み出すと、男たちは狼狽えて後ろに下がった。

「宮野を泣かせるのは、僕だけの特権なのに」

「くそっ、こんなガキ、誰が相手にするかよっ」

じゃり、もう一歩、明石くんが踏み出すと、男たちは転がるように逃げていった。

ふーっ、息を吐き出す音がして明石が振り返る。

「宮野、大丈夫?」

いつも通りの顔で笑う明石くんに安心した途端、腰が抜けてへなへなと座り込んだ。
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