宮野さんはいつも困ってる
駅で待ち合わせだけど。
いったん離れてケーキ屋さんへ。
駅裏にある、「プチ ボヌール」は人気のお店で、……杉本先生の実家、だ。

「いらっしゃいませー」

お店に入ると、お客さんは他にいなかった。
中は甘い匂いであふれてる。
ショーケースにはおいしそうなケーキに、棚には焼き菓子。
うーん、どれがいいかな。

「おー、宮野ー、久し振りだなー」

迷っていると店の奥から杉本先生が出てきた。
今日は先生、お休みですか?

「生徒さん?」

お店の人……たぶん、先生のお母さんの首が不思議そうに傾く。

「そう。
俺のクラスの生徒」

「そうなの。
いつも慧がお世話になっております」

「お世話してるのは俺のほうだってーの」
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