宮野さんはいつも困ってる
あれ?
なんでだろ?

お母さんの視線が先生と私のあいだを何度も行き来してる。
それに気がついたのか、先生が意味深そうに頷いてそっと背中を押すと、お母さんは
「じゃあ、私は」
って店の奥へと入っていった。

「なに?
わざわざ買いにきてくれたの?」

私の疑問を誤魔化すように、笑顔で先生が聞いてくる。

「……今日、明石くんの家で勉強会、で。
その、おみやげに」

「そうか。
お勧めはこれ。
あとこれとこれと……」

先生はそう云いながら、勝手に箱に、いくつもケーキを詰めていく。

「先生?
そんなにいらないですけど……」

「まあいいから持って行け。
サービスだ」
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