宮野さんはいつも困ってる
……さっき。
もうちょっとでキスするところだったんだよね。
それに、……明石くんならキスしたいって思ってた。
これってやっぱり、恋、なのかな——。

そっと、明石くんを盗み見る。

さらさらの黒髪、面長のきれいな顔。
黒縁の眼鏡が、よく似合ってる。
通った鼻筋、薄い唇。
指の長い、大きくてきれいな手。

見てるだけで心臓がどきどきと早い鼓動を刻み出す。

「宮野、どうしたの?」

不意に、明石くんの顔が上がって、慌てて視線を逸らした。

「なんでも、ないよ」

「その割に、顔、真っ赤だよね」

じっと見つめていたことを知られた気がして、恥ずかしさで顔に熱が上っていく。

「……もしかして、僕に見惚れてた?」

ふっ、耳にかかる吐息。
心臓の音がどきどきからばくばくに変わった。
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