宮野さんはいつも困ってる
お兄ちゃんが射的でたくさん景品とって、お店のひとがひどく落ち込んでるのに気の毒だと思いつつも笑ったり。
お祭りってこんなに楽しいんだ。

「萌花、疲れてないか?」

「ううん。全然」

気にしてた下駄の痛みもなくて、全然疲れない。
初めてのお祭りにハイになってるのかな。

水分補給もしろ、お兄ちゃんにそう云われてみんなでラムネを買うことにした。

……そういえば。
明石くんはいま、どの辺にいるんだろ。
今日は会えないのかな……。

「宮野?」

ラムネを売ってる屋台に行くと、ちょうどお金を払っていた男の子がこっちに気がついた。

「明石くん?」

「すっごく可愛くなってるから、一瞬誰だかわかんなかったよ」

にっこりと笑う明石くんに、頬に熱が上がっていく。
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