宮野さんはいつも困ってる
明石くんはわざわざ、草原の上に自分のハンカチを引いてくれた。
申し訳ないと思ったんだけど、いいからと押し切られてその上に座る。

どーん、一瞬、明るくなって花火が散っていく。

「きれいだね」

「……うん」

そっと手が重なって、指を絡めて握られた。
それだけで心臓の音が早くなる。

「宮野もきれいだけどね」

耳元にかかる吐息に身体が震える。
ちゅっ、耳朶に口付けすると、明石くんは離れた。

「僕は花火より、宮野を見ていたいな」

するりと繋いでない方の手が頬を撫で、親指と人差し指でそっと、顎を持ち上げられる。

ゆっくりと明石くんの顔が近づいてきた。
ばくばくと早い鼓動は花火の立てる音よりも大きく聞こえる。
どーん、赤い花火が上がって散っていく中、静かに目を閉じ……。

「萌花!ひとりで行動するなって云っただろ!」

お兄ちゃんの声に慌てて目を開ける。
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