宮野さんはいつも困ってる
「萌花、落ち着け。
ゆっくり、息をしよう。
お兄ちゃんの声、聞こえるな?」

お兄ちゃんの腕の中で、こくんと頷いた。

「慌てなくていい。
深呼吸だ。
ゆっくり、……そう。
いい子だな、萌花」

背中を撫でるお兄ちゃんの手に合わせてゆっくり息をするように気をつけると、少しずつ呼吸が楽になっていった。
普通に息ができるようになっても、お兄ちゃんは私を抱きしめたままだった。

「無理、しなくていい。
まだ時間あるから島津先生のところに行くぞ」

「……うん」

私の髪をわしゃわしゃ撫でると、お兄ちゃんが離れた。
その顔は笑顔で、……ちょっとだけ、ほっとした。
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