宮野さんはいつも困ってる
耳元にかかる吐息に、あたまのてっぺんまで熱が上っていく。

「離れろ!!変態!!スケベ!!」

「やだね」

ふたりの騒ぎを聞きながら、そっと手を伸ばす。

どくん、どくん。
大きく響く、心臓の音。
顔は火が出そうなくらい熱い。
明石くんの背中まで手を伸ばし、そっと——。

 キーンコーンカーンコン。

「もうちょっとこのままでいたかったけど。
チャイム鳴っちゃったね。
残念」

「ざまーみろ」

明石くんが離れて、中途半端になってしまった手のやりどころに迷った。

「また放課後、かな。
じゃあね、宮野」

「……うん」

……あとちょっとで、明石くんをぎゅっとできたのに。

できたのに?
私、なにしようとしてたんだろ!?
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