宮野さんはいつも困ってる
先生にはここのところずっと心配かけっぱなしだし、いつも気を配ってもらってる。
だから、少しくらいお礼をしたくて。
実家がケーキ屋さんの先生にクッキーなんて、とも思ったけど。
とりあえず喜んでもらえてよかった。

「みやのー」

ちょいちょいと先生が手招きするから近くによると、ぐいっと手を引っ張られた。
そして、気付いたときには先生の膝の上。

「あーん」

えっと、それって流行ってるんですか?

戸惑っているとさらに先生が口を開く。

「ほら。あーん」

仕方なく、袋からクッキーを取り出して口に入れると、先生はもぐもぐと食べていた。

「うまいな、これ。
うちのクッキーより上じゃないか?
そうだ、宮野、俺の嫁になってケーキ屋継がねー?」

またあーんと口を開けるから、新しいクッキーを入れる。

というか先生、それって冗談ですよね?
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