宮野さんはいつも困ってる
ふんわり香る、爽やかだけど少し甘めの、匂い。

「昨日、なんかあったのか?」

熱い顔で、黙って首を横に振る。
でも杉本先生は耳元で囁き続ける。

「嘘つくな。
大塚と少し、ぎくしゃくしてただろ?
それに教室の外、頻繁に気にしてたし」

……よく、見てるんですね。

それはいいんですが。
そういうこと云うのに、なんでこんな体勢なんですか?

「……ちょっと。
でも、杉本先生に相談しなきゃいけないほどのことでもないので」

「……誰かに告白された、とか?」

びくり、思わず震えた身体に、杉本先生はニヤリと笑って私から離れた。

「誰だ?俺の宮野に手、出してきた奴」

「……私は杉本先生の物じゃないです」
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