宮野さんはいつも困ってる
「おにーちゃーん、帰ったのー?
……その人、かのじょー?」

「違うけど。もうすぐそうなる人」

突然掛けられた声に、明石くんが離れる。
レンズの向こうの瞳と目があうと……照れたように笑われた。

「まあ、そういうこと。考えてて」

「……うん」

家の中に入っていく明石くんを見送って、私も駅に向かう。

……けど。

あたまの中はパニックで、どうやって帰ったのか、全く記憶がない。

そして翌日――。
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