宮野さんはいつも困ってる
「昨日、ちゃんと帰り着いた?
あとで送ってくべきだったなーって」

「ちゃ、ちゃんと、帰り着き、……マシタ」

「ねえ。
……さっきからなんで、敬語なの?」

私をじっと見つめる、レンズの奥の瞳は可笑しそうに笑ってる。

そっと明石くんは私の髪を一房手に取ると……その毛先に口付けした。

「な、な、なに……!」

「ふふっ。
宮野はやっぱり可愛いね。
こんなことで口ぱくぱくさせて、真っ赤になっちゃって」

いやいやいや、なにやってるんですか!?

明石くんの行動にあたまがついていかない。
完全にパニックになっている私を、明石くんは可笑しそうに見てる。

 キーンコーン……。

「残念。
チャイム、鳴っちゃったね。
……返事は放課後、聞かせてよ」

「……」
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