宮野さんはいつも困ってる
「僕としては早く返事が聞きたいんだけど。
それが宮野の負担になったら、困るもんね。
……だから」

影の形が変わる。
横を向く、明石くんの影。
その影は私に近づいてきて……。

「……もう少し、返事、待つよ」

ちゅっ。

耳にふれる、柔らかいもの。

みるみるあたまのてっぺんまで、熱が上っていく。

「宮野?大丈夫?」

私の顔をのぞき込む明石くんの、眼鏡の奥の瞳は、おかしそうに笑ってる。

なにも云えなくなって黙ってしまった私に、さらに。

「そんなに可愛いと、ここにキスしたくなるんだけど?」

ちょいちょいと、明石くんの長い人差し指が、私の唇にふれる。
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