魔女ときどき高校生

美咲は電車に揺られながら帰路に着いた。

「ただいま〜、シゲさん。
今からあっち行くから準備してね。
ってシゲさん準備も何もないか。」

[おかえり、美咲。
なんだ⁇
俺が猫だからって準備することないと思ってんのか⁇
紳士には準備が必要なんだよ。]

「はいはい、ごめんね、シゲさんw
そんなに時間ないから早めにお願いします。」

[美咲こそとっとと準備しろよ〜。
今日は薬草学の授業もあるんだから。]

「あ、そうだった‼︎
早くしないと〜
えっと、ローブに杖に、鉄鍋に…」

帰宅そうそう猫と話しながら準備をはじめた。
黒猫の名前はシーゲル・ウィステリア。
美咲の使い魔だ。

美咲は平日は夜間の魔術学校に通っている。
近年の魔法界もグローバル化が進み、技術発展の為に人間界への留学が推奨されている。
人間界へ留学し、最先端の技術を習得し魔法界の発展の為に使う者もいれば、そのまま人間界に住み着く者もいる。
魔術の習得と人間界の技術の習得の為に魔法界は中学校までは魔法学校で下宿し義務教育を受け、高校からは魔法学校は全て夜間になっている。
昼間は人間界で大学進学し先端技術習得の為に高校で学び、夜間は魔術を学ぶ。
ということがここ20年間主流になってきている。

ちなみに本来魔法使い達は杖もローブも使わない。
しかしなぜ美咲が準備していたかというと、魔法魔術立法機関である魔道国会であるおじいちゃん議員が某魔法小説を読み魔法の世界に魅力され”ワシらももうちょっと魔法使いっぽいことしたいの〜。
じゃから魔法使いはローブの着用と杖の使用を義務付けることにしよう”という発言から20年程前から義務でないにしろ条例でローブの着用と杖の使用が推奨されるようになった。
そのおじいちゃん議員はお茶目な性格で魔法界市民からの人気が異常に高く皆条例を守っている。