空港のある街では、今日も泣きたくなるほどの青い空が広がっている
昨日の夜、いつも通りに会った帰り際。

彼は私を家の前まで送り届けると、繋いでいた手をそっと離して、目の前にいる私から目をそらした。

「俺やっぱり行くことにした。いつ戻ってくるか、ここに戻ってくるかどうかもわからへん。」


待ってて欲しいとか、ついてきてくれとか、言うてくれへんねんな。

私と一緒にいるより、夢を追い掛けることを選んだんや。

ずっと一緒にいようなって約束したのに。


「ごめんな。」

彼は“別れよう”と言う代わりに申し訳なさそうにそう呟いた。

「相談もせんと一人で決めるとか、ホンマずるいな。行かんといてとか離れたくないとか、私、なんも言われへんやん。」

「…ごめん。どうしてもあきらめられへんねん。子供の頃からの夢やったから。」

「ずっと一緒にいようって言うたくせに。」

「……ごめん。」


いつもはなかなか謝らへんくせに、なんでこんな時に限って素直に謝るんよ。


どれだけ責めても彼はただ謝るばかり。

私はそんな言葉が欲しいんじゃない。


いつもみたいに“それでも俺はおまえが好きやで”って言うてよ。

そう言ってくれたら、“今までありがとう、頑張ってな”って、どんだけ無理してでも笑って送り出せるのに。

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