アフタヌーンの秘薬
「あなたが来てくださったんですか? ではあなたが相沢さんだったんですか?」
男性の質問に私も驚いた。
「え? 違います、私は三宅ですが……相沢は私の後輩です」
「は? 相沢じゃないの?」
龍峯さんも思わずテーブルに身を乗り出した。
「あの……違います……」
この状況に混乱した私は不安から両手を組んで膝の上で握り締めた。
「どういうことだ?」
龍峯さんは今来たばかりの男性に助けを求めるように視線を向けた。
「失礼します」
そう言って男性は龍峯さんの隣に座った。2人に見られて私の緊張は最高潮だ。
「私は月島明人と申します。この龍峯の友人です」
イケメン男性はそう私に名乗った。
「あなたはカフェの店員ですが相沢さんじゃないのですよね?」
「はい……」
月島さんの言葉に私は頷いた。
「はぁー間違えた……探してた相沢はあんたじゃなかったのか……」
顔を手で覆った龍峯さんは恥ずかしそうに呟いた。月島さんはそんな龍峯さんの様子に呆れた顔をしながら口を開いた。
「どうやらこの龍峯が人違いをしてしまったようです。我々は駅の中のカフェに勤めている相沢さんという女性にお話しがあったのです。私は相沢さんの顔を存じているのですが、龍峯は名前しか知らなかったので」
「そうだったんですか……でも私は相沢ではなく三宅です」
「申し訳ありませんでした」
「てっきり相沢だと思って声かけたのに」
龍峯さんはさっきとは別人のように声に苛立ちを感じた。
「だから僕が行くまで待てと言っただろう。大体どうして名前を確認しないんだ」