アフタヌーンの秘薬
「うん。私も……」
聡次郎さんが特別で大事ですよ。
強く抱きしめてくる腕に応えるように私も腕を聡次郎さんの腰に回した。
「梨香」
名前を呼ばれるのが心地良い。
頬にキスされ、私が抵抗しないと唇が私の唇に重なる。
聡次郎さんに求められて嬉しいと思えることが不思議だ。
全身が熱いのは体調が悪いからなのか、聡次郎さんに触れられているからなのか。
この甘い昼休みが終わったら、余韻に浸って仕事に集中できないだろうなってぼんやり思った。
◇◇◇◇◇
2日間カフェに出勤し、龍峯に出勤の朝にはいつもと変わらず自分の分と聡次郎さんのお弁当も用意した。
休憩時間にランチバッグを持ってエレベーターを待っている間にスマートフォンを確認すると、1時間前に聡次郎さんからメッセージがきていた。
『戻りの時間が未定だから悪いけど今日は1人で食べて』
絵文字も何もないシンプルなメッセージだ。ビルの裏口から駐車場を見ると聡次郎さんの車はないから会社に戻っていない。
予め部屋の鍵はもらっていたけれど1人で食べるのは寂しいし、今日は久しぶりに食堂で食べよう。
時間が合わないのなら仕方がないけど、せっかくのお弁当をどうしようか。時間が未定ってことは食べられないかもしれないってことかな……。
そう思ったときエレベーターのドアが開いて中から月島さんが出てきた。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様です」