3度目のFirst Kiss
微妙な緊張感が、部屋全体を覆っていく。

「私、生田さんのことを本気で好きになりました。それをちゃんと広瀬さんに伝えておこうと思いまして。」

突然の告白に、私の心は動揺し始める。

「どうして、私にそんなこと言うの？」

「だって、広瀬さんは仕事では尊敬する先輩ですけど、生田さんに関しては、ライバルですから。」

「ライバル？私が？」

「私、今までも生田さんに憧れてました。でも、彼女もいるって噂もありますし、会社の女性社員の中にも、生田さん狙いの人も多いし、だから、憧れだけでいいと思ってたんです。」

川口さんが大きく息を吸った。
私は、上手く呼吸できないでいた。

「でも、今回、一緒に仕事をさせてもらって、生田さんが、ただカッコいいだけの人じゃないって知って、本気で好きになりました。彼女がいても、周りを敵に回しても、私は後悔したくありません。その覚悟を、広瀬さんには伝えておこうと思いまして。」

「そうなんだ。でも、私に言われても・・・。」

私は戸惑いを隠せない。

「先輩へのライバル宣言です。話は以上です。
では、夜遅くにすみませんでした。お休みなさい。」

彼女は私の言葉を待たずに、一礼すると、さっさと部屋を出て行った。

残された私はどうすればいいの？

私には、想像すら出来ない行動だ。

川口さんが、生田君に好意を寄せているのは分かっていたことだし、私への態度もあからさまだったから、驚くことじゃない。

だけど、まさかのライバル宣言って。

眠ろうと思っていたのに、私はすっかり目が覚めてしまった。
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