3度目のFirst Kiss
爆弾投下
やっとホテルに着いて、私が自分の身体の重さを感じながら、鍵を開けようとしていると、川口さんも立ち止まった。

「どうしたの？」

「一応、ご報告ですが、会社であの飲み会での生田さんのキスの相手が広瀬さんじゃないかって噂になっているそうですよ。私は、信じてませけど。」

彼女の突然の爆弾発言に、目の前が真っ暗になるのに、私の心臓は、飛び出しそうな程、急激に音を立て始めた。
思わず、鍵を落としそうになるが、ここで慌てたら、それを肯定したことになってしまう。

「どういう意味？」

「さぁ、仕事中に、同僚からメッセージが入ってたんです。今日のオフィスは大騒ぎだったって。だから、私に真相を確かめて来るようにって。私も詳しいことは分かりません。」

「そんな訳ないのにね。噂って怖いよね。
じゃあ、また明日。」

私は、川口さんの顔を見ずに、部屋に入った。　

「私、絶対、負けませんから。」

ドアが閉まる瞬間、背中に川口さんの決意の籠もった声を聞いた。
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