3度目のFirst Kiss
「私は・・・、生田君より5歳も年上だし、いたって平凡だよ。」

「だから?」

「だって、可愛い彼女がいるんじゃないの?」

「さっきも言いましたけど、彼女なんていません。」

「でも、前に私が『彼女いるじゃない。』って言った時、否定しなかったよね。」

「あれは、会社でそういう事になってたから、どう説明しようかって考えてたら、彩華さん、そんな時間も与えてくれず、帰っちゃうから。」

「そうだったんだ。」

「多分、会社で噂になっているのは、妹です。それか、元カノというのも確かにあり得ますけど。とにかく、3年前から彼女はいません。」

「そうなんだ。」

「俺、こう見えても一途なんです。この3年間、好きな人以外とはキスもしていません。」

「そうなんだ。」

「ちなみに、好きな人とは2回キスをしました。2回とも俺が強引にしたんですけど。」

「覚えてたんだ、1回目も。」

「あの、俺のこと揶揄ってますか?
彩華さん、さっきから他人事みたいなんですけど。」

「あっ、そうだね、ごめんなさい。」

「俺、今、振られてます?」

「いや、そんなことはないと思うよ。」

「じゃあ、彩華さんも俺のことを好きってことで
いいですか?」

「はい。」

「分かりました。じゃあ、俺の片想いはやっと実ったってことでいいですね?」

「はい。」

「結局、強引じゃないですか。もっとロマンチックに決めたかったのに。」
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