3度目のFirst Kiss
私は居ても立ってもいられず、立ち上がり歩き出した。

「ちょっと、待ってください。」

生田君が慌てて追いかけて来る。

「だって、恥ずかしすぎる・・・。」

生田君が不意に私の手を握った。
私達は手を繋いだまま、行く宛もなく公園を歩いた。

「今日は振り解かないんですね。」

私だって、本当はずっとこうしていたかったから。
絶対、言えないけど。

「居酒屋のことは俺に任せてください。彩華さんには迷惑かけないから。いや掛けるかもしれないけど、絶対、俺が守りますから。」

「お願いします。」

「今回の展示会では悔しいぐらい、彩華さんに助けられたし、守ってもらいました。今度こそ、俺の番です。これから、誰にも文句を言わせないぐらいの男になってみせます。」

「お願いします。」

「ハッハ。やっぱり面白い。俺、結構格好つけたつもりなんですけど。『お願いします。』って。普通は感動してもらうところなんですけど。」

「ごめんなさい。」

正直、この展開にまだ頭が付いていってない。
ただ、握られた手はとても温かい。
< 126 / 129 >

この作品をシェア

pagetop