3度目のFirst Kiss
生田君はそれから少しして、すくっと立ち上がると、私の方を見た。

「本当にごめんなさい。俺、中の様子見て来ます。
広瀬さんはここにいて下さい。もしかしたら、田崎の奴、広瀬さんのことは言ってないかもしれないし。」

そんな事、あるだろうか・・・。
あの状況で言わないなんて。
生田君はあの場面を見ていないから、そんな風に言えるんだろう。

「広瀬さん、これからどうしますか?帰りますか?
荷物持ってないみたいだけど、俺が取って来ましょうか?」

私の様子を察して、矢継ぎ早に聞いてくる。

「ありがとう。じゃあ、お願いします。」

こんな事になったのは、生田君のせいだと思いながら、一応、お礼を言う。

「じゃあ、ここで待ってて下さい。ちょっと、時間かかるかもしれないけど、すみません。」

彼は、私に背を向けて、みんなのいる部屋に向かって歩き出した。

私は意味もなく立ち上がり、彼の背中を見送った。

いくら生田君でも、あの騒ぎの中を簡単には
切り抜けられない筈だ。

どうするつもりだろう。

私には想像も出来ないけど、私を悪者にはしないだろうとだけは思えた。

私は、また、ソファに座り込んだ。
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