3度目のFirst Kiss
私が生田君にキスされたのは、宴会も中盤に差し掛かった頃だった。

最初は、たまたま同じテーブルに着いた数人の女子社員と飲み始めたけれど、みんなお酒が進み始めると、自分の同期やお気に入りの男性社員の元へと席を離れていった。

「同期のとこに行ってもいいよ。久しぶりなんじゃない?私は、お手洗いに行ってくるから。」

私に気を遣って、まだ席を離れられないでいる後輩に声を掛けて、私は席を立つ事にした。

私の唯一の心許せる職場仲間の奈緒子は部長に捕まっていたし、生田君は女子社員に囲まれていた。

トイレの前にあったソファーに座り込み、お酒を飲んだせいで、ぼっうとしていた。
お酒は嫌いじゃないけど、あまり強くはない。

もう、帰ろうかな。
今日の会費は、上司持ちだし、週明けにお礼を言えばいいだろう。

何が楽しませるよ。ちっとも楽しくないし、そもそも生田君は私が来ている事さえ、気付いてないかもしれない。
生田くんの社交辞令を本気で受け取った自分を棚に上げ理不尽な不満だと解っていても、イライラしてしまう。

あーぁ、やっぱり来るんじゃなかった。
< 15 / 129 >

この作品をシェア

pagetop