3度目のFirst Kiss

「田崎君て、みんなが言うほど天然じゃないよね。
何なら、私は、彼を策略家だと思ってるんだけど。
そんな彼が素直に生田君の言う事を聞いてくれるの？」

私は、人のことを悪く言うのは・・・と思いつつも、田崎君から今日感じた視線を思い出し、その不安を口にした。

「流石、広瀬さん。田崎の本性をちゃんと分かってる。あいつが社内であんな風に振る舞ってるのは、完全に作戦ですからね。それに気付いてる人間は少ないと思いますけど。」

「じゃあ、やっぱり。」

「広瀬さんは人のことは分かるのに、自分のことは全然分かってないんですね。」

生田君は、わざと大きな溜め息をついて見せた。

「じゃあ、営業部全体の売上げや売掛金の管理表の作成や備品の整理、３課に営業マンがいない時のお客様の対応は誰がしてるんですか？」

「えっ？」

それは、私だけど、そんな大したことじゃない。