3度目のFirst Kiss

「俺、広瀬さんに信じてもらえる様に頑張りますから。」

「頑張らなくても、生田君の仕事ぶりは、すごく信頼してるよ。」

「いや、そう言うことじゃなくて・・・。俺は、広瀬さんに『男』として認められたいって言ってるんです。」

生田君の目は、確かに真剣だった。
でも、そんな風に私を惑わすのはやめて欲しい。
私が必死に抑えてる気持ちのことを知りもしないで。

「生田君は、私よりずっと若いし、可愛い彼女だっているじゃない。とにかく、今日の事はなかったことにするから、今さら、取り繕うのはやめて。私は、大丈夫だから。」

生田君の全身から力が抜けたのが分かった。
彼女のことは否定しない。

あぁ。

私は、その隙に、鞄を奪い取り近くに止まっていたタクシーに飛び乗った。