3度目のFirst Kiss
堪らず、田崎君の隣に座っている人が、彼の脇腹を肘で突いた。

「えっ?何ですか?」

彼は、この時間を楽しんでいるんだろう。
今だけは、この田崎君の姑息さを賞賛したい。

「どういう状況だったんだよ?」
「どこで見たの?」
「いつ?」

たまりかねた数人の社員達から、矢継ぎ早に、
質問が飛び始めた。

「いや、状況と言ったって、俺、それしか見てないし。よく分からないですよ。」

「あ〜、お前じゃ話にならない。て言うか、生田は
どこに行ったんだ?」

彼に詰め寄っていた人達が、田崎君への追及を諦め、今度は、生田君を探し始めた。

彼は席にはいなかった。
 
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