3度目のFirst Kiss
今日は、午後2時から、業者との打ち合わせが入っているので、クライアントの要望や当日までの役割、スケジュールをまとめておかなければならない。

それからは、仕事に集中して打ち合わせ資料が完成したのが、丁度、12時30分の少し前だった。

顔を上げると、多くの社員は昼休憩に出掛けたのか、殆どが席外しだった。電話当番の女子社員が数人残っている程度だ。

奈緒子は私を待っていたらしく、私が顔を上げた途端、財布を片手に私の方へ歩み寄って来た。

「彩華先輩、終わりました?じゃあ、早く行きましょうよ。私、お腹ペコペコです。」

「うん、分かった。ごめんね、お待たせして。」

「いえ、約束の時間ですから。でも、流石、彩華先輩ですね。ちゃんと時間通りに仕事を終わらすんだもん。うちの若い子達に仕事の仕方を教えてやって下さいよ。」

「そんなのは長く働いてるだけの慣れだよ。」
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