3度目のFirst Kiss
「わぁ、美味しそう。いただきまーす。」

奈緒子は嬉しそうに、料理を口に運び始めた。

私は、お箸を手に持ったまま、彼女を見つめていた。

「ねぇ、何故分かったの?生田君は、田崎君以外は誰にもバレてないって言ってたよ。もしかして、田崎君がみんなにバラしたとか?」

私は、彼女に聞きながら、ドキドキが止まらない。
でも、この一週間の会社の様子を考えると、そんな筈はない。

「大丈夫ですよ。でも、生田君もまだ甘いな。少なくとも私は気付いたし、あと一人、気付いている人がいると思いますけど。」

彼女はまた、悪魔の微笑みを浮かべた。

「とりあえず、彩華先輩も早く、食べてください。折角の料理が冷めちゃいますよ。詳細は、食後のデザートにとっておきましょう。」

「ねぇ、1つだけ教えて。もう一人って誰?」

「それは、秘密です。ただ近い内に、先輩にも分かりますよ。」

平穏な日々に大きな爆弾を落として行く奈緒子は、やっぱり只者ではない。
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