3度目のFirst Kiss

田崎君は、どんな思いでそのブーイングを受けていたんだろう。彼にはきっと確信があった筈なのに。

でも、驚くことに、その真相も奈緒子がちゃんと
知っていた。奈緒子は周りへの観察眼が鋭い。

「でも、本当は生田君が戻って来る前に、電話か何かで田崎を呼び出して蹴りをつけた感じです。あの感じだと、田崎は生田君に何か弱みを握られてるんだろうな。あいつ、叩けばいくらでも埃が出て来そうだもん。」

それなら、確かに納得できる。

「あっ、それに、先輩の鞄を生田君に渡したのは、私ですから。生田君にこっそり頼まれて。それから、生田君は、『仕事の電話してきます。』ってみんなに言って、長い時間、戻ってこなかった。」

生田君は、私と奈緒子が仲良いことや彼女が信頼に値する人だと知っていたんだ。
< 37 / 129 >

この作品をシェア

pagetop